・富士はるか 海隔てたる 雪見かな
・蠟梅のつぼみ膨らむ寒の入り
・雪見酒ハバナクラブで寒の入り
・潮騒の響き切り裂く
・蠟梅の一輪開く暖かさ
・大寒や身一点の夕日かな
・鴎去り海霞たち春来たる
・吹く風が梅の香運ぶ暖かさ
・風去りて梅の香残る暖かさ
・菜の花や爛漫の春黄の饗宴
・幕山や紫雲の如き梅花かな
・啓蟄や枯葦芽吹く片瀬川
・長閑さや川面を濡らす春の雨
・何もなき余寒の海を眺めけり
・春霞なぎさにたちて唯茫茫
・雨上がり春薫り立つ相模灘
・磯の香にの息吹き彼岸入り
・逝きしひと甦るが如く桜咲く
・花鬱や心に溜まる滓のごと
・花冷えや寂寥積もる雪のごと
・そこひなき想いを懐き桜咲く
・慕い来るバリケン愛し春の川
・茫々とただ茫々と春の海
・あてどなき旅路の果ての花曇り
・桜散る諸行無常のシンフォニー
・鐘の音が桜散らすや龍口寺
・卵抱く母鳥いとし片瀬川
・花冷えやぼそぼそ寒し楽しまず
・花冷えの夜に酒酌む無聊かな
・東雲に石楠花の朱空を染む
・花冷えの朝に麗し雪柳
・逝く春を片瀬の浜で惜しみけり
・芍薬のすらりと立ちて花重し
・富士を背に朝日に向かう月見草
・はつなつの海茫茫と霞けり
・緑萌え海蒼々と聖五月
・眼にいたき五月のひかり海の青
・ワイシャツの白鮮やかな薄暑かな
・静けさや薄暑の海のシラス船
・海蒼々他に何もなき五月晴れ
・紫陽花の恥じらう如く色づけり
・脳みそが腐りそうなㇼ梅雨の空
・静けさや海原閉ざす梅雨の曇
・長閑なㇼ梅雨の晴れ間のひかる海
・眼を奪う花も少なし梅雨日照り
・カンナ花きりりと咲きて梅雨明けり
・野分去り海洋々と輝けり
・勝ち誇る如く咲きたるハイビスカス
・酔芙蓉陽を浴びるごと朱を増せり
・荒れ狂う海原はるか黒き富士
・すべもなく豪雨に打たれ敗戦忌
・野分さり海光満ち富士揚々
・嵐明け万物斉同こともなし
・梅開く天地の大道ゆるぎなし
・水ぬるみ空和らぎて梅開く
・江の島や青葉萌えたち海蒼蒼
・茫々とただ茫々と春の海
・梅雨空が海に溶け込む相模灘
・浜歩き素足に波の心地よさ
・静かなる梅雨の合間や朝の海
・初恋はあじさい寺の待ちぼうけ
・紫陽花や一雨ごとの鮮やかさ
・梅雨曇が海空閉ざす母忌日
・梅雨空の彼方にかすむ富士天城
・いつ空けるマスク煩わし梅雨コロナ
・汐風に犬もまどろむ日永かな
・実久湾極楽浄土の蓮の池
・梅雨晴れ間寸暇を惜しみ布団干し
・恋い焦がる青空蒼海黒き富士
・梅雨空や鐘の音籠もる龍の口
・梅雨空けの予感かがやく空と海
・ハイビスカス深紅に光り夏きたる
・梅雨明けて海いっぱいのシラス舟
・あさがおや天に開きて夏本番
・緑陰のに満ちる蝉しぐれ
・土用波くらげ運びて夏去りぬ
・酔扶養暑さに負けず咲き誇る
・老犬と海原見つめ敗戦忌
・払暁に潮風秋気運びけり
・天高く海深まりて富士近し
・天に満つ野分の気配相模灘
・野分去り富士厳然と聳え立つ
・新涼の曇かさなりて霞む富士
・しずかなる光に満てり十三夜
・逝きし友と飲み明かしたし十三夜
・逝きしひとの魂送る十三夜
・秋深み茫然と海を眺めおり
・しずかなる彼岸の入りや波もなし
・秋梅雨に鐘の音こもる法難会
・ひと日ごと色づく曼珠沙華
・秋時雨鐘の音満ちる龍ノ口
・金木犀香り鮮やか秋深し。
・秋涼の海にるシラス船
・晩秋の空にとけこむ相模灘
・子も犬も共に歩めㇼ土堤の秋
・カンナ咲くきりりと頭もち上げて
・川面澄み鴨戯れし秋日かな
・長き夜や憂いの募る雨の音
・我ひとり在るとの思い夜長雨
・雨音に秋冷身にしむ目覚めかな
・ひとときの晴れ間が恋し秋霖雨
・人気なき浜辺を打つ波秋の声
・水底に過行く秋の流れけり
・川べりの芒ひかりて秋過ぎぬ
・富士箱根山の端ひかり秋深し
・時雨去り茜際立つ八幡平
・晩秋の朝日にひかる岩手山
・霧晴れて深紅に染まる八幡平
・静けさや波なき浜の秋の色
・神無月どこまでもつか婆の意地
・逝く秋や祇園精舎の鐘の声
・水澄みて雲を浮かべて流れけり
・水ひたひたと波打ち寄せて冬に入る
・さざ波に犬も微睡む小春かな
・海かなた朝日に霞む富士箱根
・静かなる水面の揺れや十三夜
・富士はるか海隔てたる雪見かな
・しののめの寒気を圧し菊開く
・凛として何処か哀しき
・道の辺の山茶花の紅いのち萌ゆ
・小春日やカモメ群浮く片瀬川
・陽だまりに水鳥やすむ小春かな
・木枯らしが鷺の脛撃つ河原かな
・光る眼と静かな言葉哲さん忌
・亡き人の年を数える師走哉
・海隔て富士かすみ立つ師走かな
・波もなき師走の海をながめけり
・海原に黄金の橋架く冬日かな
・厳寒に鷺立ち尽くす川辺かな
・冬の日や赤々と燃え海染めぬ
・一点の曇無く蒼き冬の空
・短日の夕日に染まる富士天城
・葉鶏頭ずしりと赫くたつ
・病床で天命を待つ師走かな
・大寒の富士冴ゆる宵義母他界
・雪見酒ハバナクラブで寒の入り
・静かなり梅雨の合間の青き空
・東雲に富士うかび立つ秋ちかし
・古稀せまり惑い深まる花曇り
・霞起ち空に溶け込む相模灘
・花のごと鴎舞い散る片瀬川
・蟬しぐれ鐘の音響く龍ノ口
・そら高み鐘の音深き龍ノ口
・しおたれし我覚醒す彼岸花
・愕然とわれ覚醒す曼殊沙華
・初秋や空しみわたる鐘の音
・野分去り富士悠然とそびえ立つ
・荒れ狂う野分を圧し富士そびゆ
・足なえの犬と歩けり土手の秋
・の川面をゆらす鐘の音
・秋気澄み遠き山の端際立てり
・秋冷に心気を曝す修行僧
・川波の下水澄みて秋深し
・亡き人の面影募る世寒かな
・みどりごの瞳まぶしき秋日かな
・空青く海なお蒼く秋深く
・相模灘秋日に染まる富士天城
・を釣る翁が竿の先の闇
・東雲に凩運ぶ波の音
・何となく小春日和に墓に入る
・逝くひとと留まるひとと墓別れ
・水ぬるみ潮の香りに富士おぼろ
・水ぬるみ富士遠ざかる相模灘
・亡き人と花を肴に夢に酔う
・山遠く花朧なり片瀬川
・梅雨空が海に溶け込む相模灘
・潮騒に鐘の音かすむ野分かな
・深き霧空と海とを会わせけり
・霧の中空に溶け込む江島かな
・涼風にいのち洗わる青田かな
・として海と交わる黒き富士
・曇天に鐘の音こもる日長かな
・老残の我が身に似たる海の家
・逝く夏や朝顔西瓜蟬しぐれ
・老残や人なき浜の海の家
・や落花の如く散る鴎
・凩を避け水面に浮く鴎
・凩に海鳥憩う片瀬川
・凩に鴎吹き散る雪の如
・で犬とまどろむ小春かな